2025.01.27
古い家(築30年・40年以上など)の外壁リフォームにはどんな種類がある? 注意点や費用相場のほか札幌エリアなど寒冷地向けのポイントも解説
築30~40年ほど経過したいわゆる「古い家」では、特に天候や紫外線の影響を直接受け続けてきた外壁や屋根の劣化が進んでいるという場合も多いのではないでしょうか。
そろそろリフォームを検討しなきゃ、と考えている方に向けて、本記事では古い家の「外壁リフォーム」について必要な知識情報をまとめています。
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札幌エリアでの外壁リフォーム工事ならおまかせください【札幌市に本社・全国に拠点を展開する Nissho】日昭株式会社
古い家で使われていることが多い外壁材

現存する、築年数およそ30年〜40年ほどが経過した住宅の外壁には、そもそもどのような種類の外壁が多いのでしょうか。
ここでは一般的な古い家で多く見られる外壁の種類を特徴とともにご紹介します。
トタン
外壁材として100年以上の歴史をもち、現在でも多くの古い家で現役の外壁材としてみられるものです。主に亜鉛でメッキ処理した鋼板で構成されています。
形状も含めた呼称として「波トタン」「リブ波トタン」などとも呼ばれ、その波打ったかたちは多くの人が目にしたことがあり、すぐに思い浮かべられることでしょう。この波打ちの形状によって、薄くて軽量でありながらしっかりとした強度を実現しています。
鋼板が錆びないように定期的な塗料の塗り直しが必要ですが、大切にメンテナンスを行っていれば重量が軽く耐震性も備える壁材として、長い間使うことができます。
ただし金属であることから遮熱性は低く、夏場は室温が高くなってしまいやすいという面があります。
漆喰(しっくい)
日本の古い家でも多くみられますが、実は世界的にみても、5千年前に造られたエジプトのピラミッドの壁にも使われているほどに歴史の古い壁材です。光を取り込み反射することで、表面が白く美しい輝きをみせます。
日本では住宅の内壁に使われていることを目にすることも多いですが、外壁としてもたくさんの住宅で使われています。
漆喰は消石灰(石灰石を焼いて水を加えたもの)を主原料に、糊(のり)やスサなどのつなぎ材が混ぜられてできています。石灰石は長い年月をかけてサンゴ礁が隆起した「石灰鉱脈」から採掘できる自然素材であり、漆喰壁の中の消石灰は二酸化炭素を少しずつ吸収することで、およそ100年もの時をかけて石灰石へと戻りながら固まっていきます。このことから「呼吸する壁」とも呼ばれ、自然感を好む人や、年月をかけて住宅の一部が変化しているという雰囲気を楽しみたい人などに特に愛されています。
漆喰の壁は機能面でも、ゴミや埃が付きにくい、温度や湿度を一定に保ちやすいといったメリットがあり、またシックハウス症候群の原因物質のひとつであるホルムアルデヒドを分解してくれるという効果も持っています。また、建築基準法で不燃材料として認められているほどの耐火性もあります。
しっかりとメンテナンスを行えば数十年~100年と長持ちさせることも可能な壁材ですが、古くなると表面が崩れ落ちてきたり、また防水性に劣ることから一度汚れた水分が染みこんでしまうと綺麗にするのが難しかったりといった面もあります。
杉板
杉の木を板状に加工してつくられている外壁材です。板張りの外壁に使われる木材としては松やヒノキが使われることもありますが、費用を抑えられつつ美しい直線の木目を堪能できる杉の木は、古くから多くの住宅の外壁や、床板、建具などに活用されてきました。
自然素材である杉板で構成された外壁は通気性や防水性が高く、また防腐・防虫・防カビ性も持っています。素材そのものの風合いを好んで無塗装で使われている場合には、再塗装の必要もなく、メンテナンスコストも最小限となります。
ただし木材であるからこそ紫外線や雨風の影響で色合いが大きく変わっていき、汚れが目立っていくほか、火災に弱いという面があります。
モルタル
セメントに砂や水を混ぜてつくられたモルタルも、築年数の古い住宅で多く見られる壁材です。コンクリートをより滑らかにしたような見た目をしており、日本では洋風建築が取り入れられ始めた明治時代ごろから活用されています。1923年の関東大震災で木造住宅の被害が甚大であったことからモルタルが持つ耐火性へ注目が集まり、戦後の建築基準法制定を経てさらに普及が広まったことから、1990年ごろまでは国内の住宅外壁材の主流といってよい存在でした。
現代の新築ではより施工しやすく高い性能も得られるサイディング外壁が主流となっていますが、伝統的な質感を好む人々を中心に、モルタル外壁も根強い人気を誇ります。
ただしモルタルの外壁は材質上ひび割れが起こりやすく、また表面に細かな凹凸があることから汚れがたまりやすいため、安全かつ綺麗な状態を保つためには小まめなメンテナンスが不可欠です。
古い家の外壁リフォームにはどのような方法がある?

築年数の経過した古い家で外壁のリフォームを行う際には、主に「塗り替え」「張り替え」「カバー工法」という3つの選択肢があります。
それぞれ具体的に詳しく解説します。
塗り替え
外壁の塗装をし直すリフォームです。具体的には、既存の外壁の上から塗料を重ね塗りし、新たな塗膜をつくります。
塗り替えリフォームでは用いる塗料の性質によって、例えば耐久性や耐水性、断熱性や耐汚染性といった外壁の性能を高めることも可能です。
また元の塗料とまったく異なる配色にすれば、それだけでも外壁の印象やひいては住宅全体の印象をがらりと変えることができるでしょう。逆に既存の外壁と色や質感が近い塗料を使えば、見た目を大きく変えることなく、汚れのない綺麗な外壁へ生まれ変わらせることができます。
塗り替えによる外壁リフォームは、何より費用を安く抑えられることが一番のメリットです。ただし外壁の経年劣化の進行具合や、表面の大きな傷や破損、内部の腐食などを補修できる方法ではありませんので、塗り替えで済ますのが適切かどうかについて、専門業者にあらかじめ点検してもらうことをおすすめします。
例えば耐久性が落ちきっている外壁に塗り替えをおこなって表面だけ綺麗にしても、結局わずか数年で外壁材自体を変えなければならなくなりますので、結果的にトータルコストが高くなってしまう可能性があります。
張り替え
既存の外壁材をすべて撤去してしまい、まったく新しい外壁材へ交換するリフォームです。張り替えるまえには、外壁の下地部分の補修や調整などもおこないます。
この方法では外壁の下地から徹底的にチェックができ、場合によっては透湿防水シートや断熱材の取り換えなども可能ですので、経年劣化が進んでいる古い家の外壁であっても耐久性や防水性、断熱性などをしっかりと確実に得られます。
ただし既存外壁の撤去・廃材の処分・下地の補修なども含めて比較的大規模な工事となりますので、工期はどうしても長めに必要となり、かかる費用も高くなります。
外壁の張り替えをおこなう際には、どこまでどういった作業を入れるかなどをあらかじめ気軽に相談でき、また下地の状況などによって都度、具体的な最善策を提案してくれる施工業者を選ぶことが大切です。
張り替えをせっかく行うからには、その後何十年と、細かな心配をせずに済む外壁へ生まれ変わらせたいものです。
カバー工法
カバー工法では、既存の外壁材は撤去せずに、上から新しい外壁材を重ね張りします。例えば既存の外壁材の劣化が進んでいるものの下地の耐久性まで影響しているほどではない場合で、塗り替えだけでは心もとない、という場合に適しているリフォーム方法です。
カバー工法でリフォームを行うと、既存の外壁材と新しい外壁材の二重構造となるため、耐久性や防音性などの大きな向上が期待できます。また、既存の外壁材と新しい外壁材の間にわずかな空気層が生まれ、この空気層が熱を遮断する役割を果たすため断熱性も向上します。
カバー工法は既存壁材の撤去が行われないため、張り替えと比較して工期が短めに済み、また費用も安く抑えられるでしょう。
ただし既存の外壁を撤去しないということは、外壁内部の下地のチェックや補修はできないということになります。そのため、古い家で外壁リフォームを行う際には、カバー工法で適切かどうかを事前に信頼のおける施工業者へ相談しておくことをおすすめします。
また、カバー工法による外壁材の重ね張りで外壁全体の重量が増します。壁の重量が大きいと地震が起きた際に建物へかかる負担も大きくなり、耐震性に影響する場合がありますので、特に地震の多い地域ではその点も慎重に調査・検討しておきましょう。
塗装だけ行うなど、DIYで古い家の外壁を生まれ変わらせることは可能?

古い家に長く住んでいらっしゃる方で、特にこれまでも住宅の多くの部分を自力でメンテナンスしてきたという方であれば、外壁リフォームも自分で行いたいという気持ちが強いかもしれません。
結論としては、塗り替えだけであればDIYでも十分に可能です。自分自身で塗るからこそ、思うように好みの配色デザイン・風合いで進めることができ、また万が一多少の失敗があったとしても、それも自分の家ならではの味、として楽しめるかもしれません。
ただし、古い家では壁の劣化状況によっては塗料の密着性が著しく低下している状況も多くあります。その場合、せっかく塗料を塗っても均一に隙間なく伸ばせなかったり、塗料が固まったあとに少しの風や衝撃で剥がれ落ちてしまったりといった問題が起こる事例も少なくありません。
そのため、例え塗り替えだけであっても、築年数の経過している住宅の場合には専門業者に依頼することを強くおすすめします。
また、外壁自体を新しくする張り替えや重ね張りに関しては、専門的な知識なしには安全性や耐久性、耐震性などを確保できないため、DIYで行うことは現実的に難しいでしょう。
古い家で外壁リフォームを行う場合の費用相場

古い家の外壁リフォームを行う際には築年数の他、実際の外壁の経年劣化具合、選択する工法などによってかかる費用が大きく異なります。
ここではひとつの目安として、様々な場合での一般的な費用相場をご紹介します。
ぜひ参考としていただきつつ、実際に検討を進める際には地域の施工会社へご相談ください。
「外壁塗装」の費用相場
外壁の総面積や塗料のグレードによっても異なりますが、一般的な塗装業者に依頼する場合、おおむね「70万~110万円前後」が相場となっています。
※外壁塗装工事を行う際に必要となる高圧洗浄作業や養生作業にかかる費用のほか、雨樋や雨戸といった外壁に付帯する部分への塗装費用も含めています
「張り替え」の費用相場
外壁の総面積や選択するサイディングボードの種類によっても異なりますが、耐久性や機能性の面で近年最も多く選ばれる「金属系サイディング」の場合で、おおむね「200万円~700万円」程度になることが一般的です。
※既存壁材の撤去費用と新しい壁材の取付費用を含めています
※別途、アスベストが使用されていた場合の撤去費用や構造部材の補修費用などがかかる場合もあります
「カバー工法」の費用相場
カバー工法の場合も外壁の総面積や選択するサイディングボードの種類で費用に幅が出ますが、同じく金属系サイディングボードの場合で、おおむね「200~650万円」ほどになることが一般的です。
※取付費用のほか、胴縁や透湿シートなどの下地材費用も含めています
古い家で外壁リフォームを検討する際のポイント【札幌エリアなど寒冷地での注意点も】

古い家で外壁リフォームを行う際には、そのリフォームによって大切な住宅をさらに長く活用できるようにするためにも、いくつか押さえておきたい大切なポイントがあります。
以下で順にご紹介します。
外壁リフォームの時期
例えば外壁が見た目から明らかに劣化している、汚れや崩れ落ちがひどい、という場合にはその時点で外壁のリフォームを検討する方も多いでしょうが、「少々の汚れや傷は味わいがあって良い」と放置していた場合などには、リフォームするタイミングを見失ってしまったという方もいらっしゃるかもしれません。
また、表面の状態に関わらず外壁の内部の状況というものは、住んでいる方の目だけではなかなか判断がつかないものです。
そこで、古い家の外壁リフォームについては単純に築年数をひとつの大きな目安とするとよいでしょう。一般的に築30年を迎える頃が、例え表面上は丈夫にみえる外壁であっても、リフォームのタイミングです。
外壁リフォームの種類
古い家で一般的にみられる漆喰や杉板の外壁では、築40年程度であっても適切な補修や調整を施したうえで、塗り替えだけで済むというケースも多くあります。ただし、表面に大きなひび割れや破損などがあって、外壁の内部基礎や下地部分において腐敗などの著しい劣化が進んでしまっている場合には、塗り替えだけでは焼け石に水となってしまうでしょう。
トタンやモルタルの外壁は、漆喰や杉板に比べても耐用年数が短めとなるため、錆の発生具合や変形・破損などの劣化の度合にもよりますがおおむね築20年ほどから次第に、塗料の密着性が損なわれて塗り替え自体が難しいという状況も増えてきます。
張り替えやカバー工法は古い家でも外壁の材質自体を確実に生まれ変わらせる良い方法です。
ただし、現行の耐震基準を満たしていないほどの古い家の外壁に張り替えやカバー工法を施工する際には、専門業者による入念な現況調査を行い、新しく張る外壁材の選定を慎重に行うことが重要です。
具体的には、1981年5月の建築基準法改正の前につくられた外壁であるかどうかがポイントとなります。改正前の建造物は「旧耐震基準」で建てられた建造物であり、その場合に外壁の重量を大きく増やしてしまうと建物への負担が増え、耐震性や耐風性が著しく下がってしまうリスクがあるためです。そのため、状況に応じて金属系サイディングや樹脂系サイディングなどの軽量な外壁材でリフォームする必要があります。
施工業者の選定
築40年以上の古い家では特に、前述の旧耐震基準の件や、外壁の表面を見ただけでは分からない様々な状況などまで踏まえたうえで適切な外壁リフォームを行う必要があります。
そのため築年数の浅い家だけでなく、古い家の外壁リフォームについての経験とノウハウを積んでいる、施工経験の豊富な業者を選定することが重要です。
施工業者のホームページで具体的な施工実績や対応内容の概要を確認したり、事前に問い合わせをおこなったりしたうえで、築年数の古い家の外壁リフォームに対応している業者であるかどうかを見極めましょう。
【札幌エリア / 北海道全域 / 東北地方などの寒冷地では】
一年中気温が低く、また激しい雪や雨にもさらされやすい寒冷地域での外壁リフォームでは、さらにいくつか注意しておきたいポイントがあります。
外壁の塗り替えを行う際には、寒冷地の外壁に適した塗料を選びましょう。例えばアクリル塗料は塗ったあとの塗膜が硬めとなるため、寒冷地の環境下ではひび割れが比較的起きやすくなります。ウレタン塗料や、さらにグレードの高いシリコン塗料、フッ素塗料といった耐候性・耐雪性に優れた塗料を選びましょう。なお、原料に関する大まかな種類だけでなく、さらに配合物の追加などで耐寒性や耐候性が高められた塗料もあります。
外壁の重ね張りや張り替えを行う場合には、サイディングボードの種類が重要です。
窯業(ようぎょう)系サイディングよりは樹脂系サイディングや金属系サイディングのほうが耐水性を得られるため、寒冷地域で起こりやすい凍害を防止できます。また金属系サイディングは室内の気温を外気から守る性能が高いため、厳しい寒さの中でも快適な室温をキープしやすく、結果的に省エネにも貢献します。
いずれの場合でも、寒冷地域での外壁施工経験に長けた、寒い地域ならではのノウハウを蓄積している施工業者にあらかじめ細かく相談しておくと安心です。
古い家だからこそ、適切な方法で「より長く快適に住める住宅」へリフォーム

長く愛着を持って住んでいる住まいの外壁リフォームを検討する際には、経年劣化の状況によってリフォーム方法や使う壁材などを慎重に選ぶことが大切です。
また、40年以上が経過している旧耐震基準で建てられた古い家だった場合には、きちんと古い家のリフォームに精通した専門知識を持つ施工業者を見つけ、あらかじめ相談しながら進めることが重要です。
本記事でご紹介した内容も確認しつつ、ぜひ適した事業者選びから始めてみてください。
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