2024.08.07
マンションのゴミ置き場にはどのような課題がある? オーナー様や管理会社様に役立つ情報をまとめて解説
本記事ではマンションのゴミ置き場について、主に管理上の観点で役立つ情報をまとめています。タイプ別のゴミ置き場のメリットや注意点、問題を解決するための設備更新といった事柄を解説していますので、これからゴミ置き場を新設する際や、既存のゴミ置き場に課題があるという場合にもぜひ参考になさってください。
マンションのゴミ置き場にはどのような種類がある?
ひとくちにマンションのゴミ置き場といっても、様々なタイプがあります。
以下で、一般的に流通しているゴミ置き場のタイプを4つご紹介します。
路上型
マンション敷地のすぐ前や近辺の路上に、行政の許可をとったうえでゴミ置き場を指定しているタイプです。マンション敷地内にゴミ置き場を設置する余裕がない場合や、世帯数の少ない小規模マンションなどで多くみられます。
路上タイプのゴミ置き場では家を出てすぐの路上にゴミを出すこととなるため、住民も朝の出社時など、出ていくすがらにポン、とゴミを置いていけるためゴミ出しが気楽というメリットがあります。
一方で、公共の往来を利用しているという性質上、マンション住民以外のたくさんの通行人がゴミ置き場の状況を目にすることとなり、ゴミ袋の中身(個人情報など)を赤の他人に見られるという心配や、またもし匂いや袋破れなどの問題がある場合にはマンション外にまで及ぶトラブルに発展してしまうといったリスクが考えられます。
また、敷地外の路上であることから野良猫やカラスなどの動物も頻繁に行き来することや、子どものいたずらや悪意ある第三者による荒らし行為や不法投棄などのトラブルも想定されます。マンションの敷地内ではないため、それらについて完全な予防策をとることは難しいでしょう。状況に応じて、ゴミを覆うネットの設置や、管理者によるこまめな見回りなどが必要となります。
開放型
マンションの敷地内で、背面と左右の壁という3面をブロック塀などで囲い、その内側にゴミを出してもらうタイプのゴミ置き場です。屋根は、ある場合とない場合があります。
密閉型ほどまでではないものの、駐車場などほかの共用部分とは明確にゴミ置き場のスペースを区別でき、また風でゴミが飛ばされてしまうリスクも回避できます。
ただし開放型であることから、例えネットで覆っていてもやはり動物などに荒らされる可能性があり、またゴミの匂いが強い場合には付近の広範囲に悪臭が漂ってしまうこともあります。
密閉型
マンションの敷地内で、ゴミ置き場として専用の小屋やボックスを用意しているタイプで、ゴミを完全に密閉できるゴミ置き場です。
フタや扉が付いており、閉めていれば外部から遮断される状況となりますので、ゴミがこぼれ落ちてしまったり風で飛んでいく心配もなく、動物や第三者に荒らされてしまうことも防止できます。また夏場の生ゴミの匂いなどが周囲に漂う心配もありません。
ただし密閉型であるがゆえに、ゴミの収容可能量はその小屋やボックスのサイズに依存します。また、例えばもしゴミ袋からこぼれ落ちた僅かなゴミや汚水が残ってしまった場合、通気性の低い空間内では匂いがすぐに充満したり、菌が増殖したりといった心配があります。
ケージ型
こちらもマンションの敷地内に設置するタイプで、前述の密閉型とほぼ同じ特徴を持ちますが、壁部分や出入り部分などが格子やメッシュ、パンチングなどになっていて通気性や視認性が確保されているものとなります。またこのタイプは細かく分けられた壁パーツを組み合わせて施工される場合が多いため、サイズや形の柔軟性が比較的高いことも特徴です。
密閉型と同じく動物からの被害やゴミのこぼれ出しの心配がなく、防犯性も高いうえ、通気性も確保できるため衛生面でも安心です。また格子やメッシュとなっている特性上、大きなゴミ置き場を設置しても景観上の圧迫感があまりありません。
収容できるゴミの量はケージのサイズに依存しますが、ケージタイプでは小型から大型へ、そして横方向や上方向などに、あとからサイズを拡張しやすいタイプも多くあります。
マンションのゴミ置き場運用は、管理会社の手腕が問われる!
マンションのゴミ置き場がどのような設備で、どのように管理され運用されているかという点は、入居者の満足度や管理会社の信頼性にも関わる重要なポイントのひとつであるといえます。
ゴミ置き場は日常的に高頻度で使われる共用スペースとなり、またマンション内だけでなく外からも見られやすい場所であるため、何かしらの対応不足があると問題が顕在化しやすく、大きなトラブルに発展しやすいのです。国や公的な機関による調査などでも、マンション住民が回答する不満やトラブルの中には、必ずゴミ置き場に関する内容が含まれているといってよいほどです。
例えばゴミ置き場が、ゴミのあるときでも無いときでも常に汚かったり、スペースが足りていなくてゴミがあふれ出していたりという状況があると、住民の満足度が低下するでしょう。
また、分別方法などゴミ出しのルールをしっかり守っている人と曖昧な人が混在している場合、管理側の周知不足や対応不足を指摘されたり、ルールを守る人とそうではない人との間で直接的なトラブルが起きてしまうケースもあります。
さらにゴミ置き場の設備面で、カラスや害虫などへの対策が不足している場合には、ゴミ置き場が荒らされてしまい近隣も含めた大きな問題となってしまいます。
マンションの管理運用においてゴミ置き場は、場合によってはエレベーターやエントランスといったすぐ目に入る場所以上に、運用状況について慎重に注視しておくべき場所であるといえそうです。
▼マンションのゴミ置き場におけるトラブルや課題、対策などについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
マンションのゴミ置き場を「24時間365日いつでもゴミ出し可能」にすることはできる?
一般的に、マンション敷地内にゴミ置き場がある場合であっても「年中、24時間いつでもゴミを出してよい」という取り決めになっているマンションはそう多くはありません。
そのような対応をするためには、管理人や管理会社の負担がとても大きくなるからです。
マンションオーナー様や管理会社様のなかには、住民の要望を検討するなかであったり、マンションの価値を高めたいという理由などでゴミ出しの24時間365日対応を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。
以下では、もし24時間OKとする場合にあらかじめ検討しておかなければならない点を解説します。
あらゆる分別種類のゴミを数日間収容しておけるだけのスペースが必要
地域の行政ごとに異なりますが、燃えるゴミや燃えないゴミで週に2〜3回、ビン・カンや資源ゴミなどは週に1回など、ゴミが回収される曜日が決まっています。
そのため、もし「住民側では収集日を気にせずいつでもゴミを出してよい」という運用にする場合には、収集日までの数日間、ゴミをすべて収容しておけるだけのスペースが必要となります。
すべてのゴミを収容しつつも、収集作業員が回収しやすい環境づくりが必要
燃えるゴミや燃えないゴミといった様々な種別のゴミが同時にゴミ置き場へ収容されることとなりますが、それらのゴミが雑多に入り混じって保管されている場合には、収集作業員が当日回収対象となるゴミを取り分けるのが困難となってしまいます。行政指定のゴミ袋の外見で種別を判断することはできますが、いずれにしても袋の中身が妥当であるかをある程度確認する必要があり、入り混じって置かれている場合にはその作業にも大変時間がかかってしまうからです。
そこで、マンション管理会社側ではゴミ置き場のスペース内で、種別ごとに明確に分けられたゴミの置き場所を用意しておく必要があります。
ボックスやケージ自体を種別ごとに用意する、もしくはひとつのボックス内で立札などを立てて置き場所を区別するといった対応をおこなっておき、またその区別どおりにきちんと置かれているかを管理人がチェックするといったフローも必要になるでしょう。
住民がゴミを出すゴミ置き場と、ゴミが収集される場所を別にして運用する方法も
マンション住民のゴミ出しを24時間365日いつでも可能とするために、そもそものゴミ収集場所とは違う場所に、住民向けのゴミ置き場を設けて運用するという選択肢もあります。但しこの場合には、管理者側の運用コストや設備投資コスト、管理負担などが一段と大きくなるでしょう。
例えば、入居者は専用のゴミ置き場にいつでも自由にゴミを出せるようにしたうえで、ゴミ収集日の当日朝に、管理人が当該種別のゴミだけを取り分けて収集場所まで持っていくという方法です。
この場合には、住民向けのゴミ置き場はなるべく日常的な動線上に設置するなどで「簡単にゴミ出しできる」という利便性を確保したうえで、ゴミを移動する管理人の負担も軽減するために、なるべく移動距離が少なくなるように、また雨天時も濡れずに行き来できる屋根付きのルートを確保できるように、といった配慮が必要となるでしょう。
さらに、入居者の利便性を高める方向性での対応として考えられるのは、タワーマンションや高級マンションなどで運用事例がみられる「住民は各階のゴミ置き場にゴミを出し、収集場所までは清掃員が運ぶ」という方法です。
この場合はそもそも、このようなサービスを提供するための人件費としてあらかじめ管理費に加味しているケースが多くなりますが、入居者は時間帯や服装、天候などを心配することなく自由にゴミを捨てられ、清掃員が運搬用のエレベーターで1階や地下などにある収集場所までゴミを移動する、ということになります。
「人目を気にせず出せる」ということからくる住民の気の緩みには注意!
どのような方法で「24時間365日ゴミ出し可能」を実現するにしても、住民のゴミ出しモラル低下には注意しておく必要があります。
気軽にいつでも出せるというメリットで住民満足度は大きく高まりますが、気軽に出せるぶん、例えば分別がきちんとされていなかったり、袋の縛りが甘かったりと、「あとは管理人や作業員がなんとかしてくれるだろう」という気持ちで細かなルールを守らない人が出てくる場合があるためです。
住民に利便性を引き続き提供するためにも、問題が多いゴミ出しに関してはしっかり注意喚起するといった対応が必要となるでしょう。
「より良いゴミ置き場」を実現した事例をご紹介!
トラブルや不満が生まれやすいゴミ置き場では、様々な個別の状況やニーズに応じて設備を刷新し、「より良いゴミ置き場」を実現できたという事例も多くあります。
ここではいくつかの事例をご紹介しますので、マンションのオーナー様や管理会社様はぜひご参考になさってください。
既存の開放型ゴミ置きスペースに、後付けで囲いを作成
敷地内に囲いもない状態でゴミ置きスペースを設けて運用していたところへ、後付けで囲いを設置。
仕切りや駆体といった既存がない状況からの施工であったため、自由設計が可能な状態であり、ニーズに合った広さを満たすゴミ置き場が完成しました。
▼事例の実物写真はこちら!
開放型のブロック塀で囲われたゴミ置きスペースに、カラス対策&美観対策でケージを追加
もともとは背面と側面のみがブロック塀で仕切られた開放型のゴミ置き場でしたが、カラス被害への対策、および美観の面でゴミがまる出しとなっている状態を改善するために、ケージ型へ変更した事例です。
このケースではオーダーメイドで既存のブロック塀やスペース内の仕切りをそのまま活かしつつ、限られたスペースをほぼ狭めることなく完全に囲まれたゴミステーションが完成しています。
▼事例の実物写真はこちら!
既存の広さのまま、後付けで壁の高さを追加してゴミ収容量が大幅アップ
この事例では、囲いのある開放型ゴミ置き場の収容量が不足しているという課題を解決しています。
既存のブロック塀にぴったり合わせつつ上方向に延長するかたちで、より高さを確保できる格子状の壁を追加し、囲い内で収容できるゴミの量を大幅に増やすことができました。
▼事例の実物写真はこちら!
敷地内でスペースを確保したうえでゴミ置き場を新設
ゴミ置き場を新設した事例です。
マンションオーナー様の意向により、敷地内にもともとあった植え込み部分や塀の一部を撤去し、空いたスペースに隙間なくぴったりと合うケージ型・6枚引き戸の広大なゴミステーションが完成しています。
▼事例の実物写真はこちら!
既存ゴミ置き場の扉を使い勝手のよいものへ置き換え
こちらの事例では既に密閉型のゴミ置き場が運用されていましたが、出入口となるスチール製の扉がサビや経年劣化により開け閉めが重くなり、使いづらい状態となっていました。
既存のゴミ置き場の扉のみを、新しいアルミ製のものへ交換しています。
▼事例の実物写真はこちら!
そのほか、様々なゴミ置き場関連の施工事例は下記一覧ページからご覧いただけます。
https://www.nissho-grp.co.jp/mansioncase/garbage
ゴミ置き場の設備追加・新設から扉の交換までNisshoの「ゴミステーションN」を活用ください
既存ゴミ置き場の容量が不足し始めている、匂いの問題を解決したい、カラスや野良猫のゴミ漁りを防止したい、などゴミ置き場の課題をお抱えの場合には、オーダーメイドで自由設計できる囲い枠がおすすめです。
Nisshoの「ゴミステーションN」は、オーダーメイド対応で既存のゴミ置き場のスペース、壁、傾斜などを柔軟に活かしながら、最適なゴミ置き場囲いを設置できる製品です。
既存ゴミ置き場の一部性能を改善したい場合でも、完全に生まれ変わらせたい場合や新設したい場合にもお客様のニーズを叶えることができます。
豊富な製品バリエーションやオプションをご用意しておりますので、マンションのゴミ置き場についてお悩みのオーナー様、管理会社様はぜひ導入をご検討ください。
▼Nissho「ゴミステーションN」の商品詳細や解決できる課題については、ぜひこちらの資料もご覧ください。
マンションのゴミ置き場は不満やトラブル・要望が発生しやすい場所! ニーズに応じてできることから対策を
本記事では、マンションのゴミ置き場についてタイプの違いやそれぞれのメリット・デメリット、そして起きやすい問題や解決事例などをご紹介しました。
ゴミ置き場が抱える課題は、マンションごとに様々です。ぜひ本記事を参考に、状況に合った解決策を見つけ出してください。